※人名表記です。
※仏英がナチュラルに同棲してます。


















ただひたすら、ベッドが恋しかった。

「おかえり、アーサー」
ドアの音を聞き付けて、台所からフランシスが優しく声をかけてくれたが、そんなものも受け入れられないほど頭が痺れている。
まるで脳の内側からハンマーで叩きつけられているような痛みだ。
はやく、はやく横になりたい。
頭の中にはそれしかない。
ふらふらとした足取りで一目散に寝室へ向かう。
靴を脱ぐのも忘れてダブルベッドにダイブ。
枕に顔を埋めると、少しだけ楽になった。
でも痛い。
肩もひどく凝っているし、移動も多かったから足もぱんぱんに張っているのがわかる。
「お疲れ?」
ベッドのスプリングが沈む感触がした。
す、とフランシスの手が髪を撫でていく。指の長い、肌はなめらかで厚みのあるフランシスの手を思い出した。
反応を返すのも億劫なのでされるがままになっていると、前髪を掻き上げられて額にキスされた。
「いたいのいたいのとんでけー、って」
フランシスはきっと微笑んでいるのだろう。見なくてもわかる。
「動けるくらいになったらリビングおいで。胃にちゃんとしたもの入れないと体に悪いよ」
どうせ忙しいって言ってろくなもの食べてなかったでしょう?
そう続けたフランシスを煩い、と罵倒したかったがそんな気力も体力もなかった。
フランシスの手は肩をゆっくりほぐすように撫ぜ、背中を辿って、張ったふくらはぎの裏を二、三度撫でて、最後に頬をなぞって離れた。
「う……」と唸ってみせると、フランシスは笑った。
「少し治まるまでいてやるよ」
靴を脱がされ、またあたたかな手が頭に戻ってくる。
フランシスの手がこの痛みを吸い取ってくれるだなんて都合の良いことにはならない。そんなにこの痛みの根は浅くないのだ。
だが、その優しさでもって、随分気が紛れることは確かなのだ。














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某神サイト様の絵に感銘を受けて、頭痛に苦しむ英の話。
ナチュラルに仏英が同棲してた。違和感がなさすぎる。



2009/1/31