ときどき、アメリカの瞳の色はやっぱり綺麗だと思うことがある。どこまでも澄み切ったスカイブルー。
至近距離でじっくりと見つめようとして、邪魔な薄いレンズに気付く。この透明なプラスチックが邪魔をして、彼の瞳が良く見えない。
「……イギリス?」
アメリカが戸惑ったように名を呼ぶのも構わずに、俺は眼鏡のつるに手をかけて、彼の眼鏡を外す。
するり、と耳辺りのブロンドをかきあげて、邪魔ものを取っ払う。その瞬間アメリカは目を閉じて、やがて細やかな睫毛を震わせて瞼を持ち上げた。
あぁ、やっぱり綺麗だ。
眼鏡を外すと、アメリカは少し幼く見える。愛情を注いで育ててきたあの頃のように。
さらに顔を近付けて覗き込む。スカイブルーの中に映りこんだ少々間の抜けた顔の自分と目が合った。
と、顎を軽く掴まれて固定される。
「どうしたの、今日はやけに積極的じゃないか」
「……お前の目って綺麗だよな」
「は?」
「いや、なんでもない」
気にするな。そう口にすると、訝しげに眉を潜めて、綺麗な瞳が半分ほど隠れてしまう。もう少し見ていたかったのに。
まぁ、仕方がない。俺はアメリカの瞼の上、スカイブルーの瞳の上にキスを一つ落とす。積極的だと言われたならば、今夜はそうなるのも悪くない。
そのまま唇にキスしようとして、アメリカの大きな手の平に阻まれた。
「むぐっ」
口元を手で覆われて、俺はアメリカを見る。
アメリカは瞳を床の辺りに逸らして、少し怒ったように眉間に皺が寄っていた。あぁ、それじゃあお前の瞳が見えないじゃないか。
「……君にキスされるのは、好きじゃない」
どういう意味だよ、と思わず零れ出た言葉は、すべてアメリカの唇に吸い込まれた。
目を、逸らさずに。











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これはオフ友との絵チャ中に突発的に書いたやつっすね。
確かこのときの絵描き組のテーマが眼鏡だったんで……。
まぁ、ノリで。ジョーカー大好物です。



2008/12/26