この状況は何なのだろう。
スペインは枕に顔を埋めて目をつぶって、それでも冴えた頭で考える。
背後にあたたかい感触。パジャマが少しひきつれている感触。狭いベッド。耳元で聞こえる規則正しい息遣い。
つい30分ほど前にロマーノが眠ろうとしていたスペインの部屋にやってきた。
「どうしたん?なんか怖い夢でも見たん?」
昔のように問うたスペインにロマーノは「もう子供じゃねぇんだぞコノヤロー」とぼそぼそ呟いて、俯いた。
「じゃあ、何があったん?」
スペインは少し心配になって問うが、ロマーノは首を振るばかり。
「……一緒に寝よか」
と声をかけると、ロマーノはようやくこくりと一つ頷いた。
が、いざ同じベッドに潜り込むと、「こっち見んな!」と言われ、ロマーノに背を向け寝転がる。
きゅう、とパジャマの背中を小さくつかまれる感触があって、しばし。ロマーノが何かを言いそうな気配はない。
人肌のあたたかさ。狭いベッド。息遣い。
据わりの悪かった右足をもそりと動かすと、固い感触があった。ロマーノの足を蹴ってしまったようだ。
「あ、ごめん」
小声で謝ったが、ロマーノから返答はない。
足を蹴ってしまったことに、スペインは少し驚いていた。
背、伸びたんやなぁ。そんなことを思う。
遠い記憶の中のロマーノは、スペインが背負うと背中にすっぽりおさまってしまうくらい小さかった。
『もう子供じゃねぇんだぞコノヤロー』
先ほどのロマーノの言葉が頭の中でリフレインする。
「…………スペイン……」
ロマーノが口を開いた。
聞いたことのない、甘えるような声だった。思わずびくり、と反応してしまう。
すり、と背に額を擦りよせる感触。髪が布と擦れてざり、と音をたてる。
はぁ、と小さく吐かれた息。
子供じゃない。
と、背からあたたかさが消えた。
「悪い、スペイン、邪魔した」
するり、とロマーノはベッドから抜け出る。
そして、部屋から出て行こうとする。
表情は、暗くて良く見えなかった。
スペインは慌てて起き上がって、ロマーノの手首をつかんで引き寄せる。
「えっ、う、わっ」
ロマーノがベッドに倒れこむ。ロマーノの体を受け止めたスペインは、そのまま両肩を掴んで押し倒した。
混乱したような目でロマーノが見上げてくる。
その目に、ぞくり、と何かが背筋を駆け抜けた。
「スペイン……?」
「ロマーノ……お前、夜這いかけにきたん?」
「なっ…!」
ロマーノは顔を真っ赤にして、だが否定の言葉は口にせず黙ったまま。
小刻みに震え、噛みしめられて血の滲んだ唇はてらてらと光っている。
ごくり、と唾を飲み込んで、スペインはその唇にキスをした。












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オフ友Oちゃんの家にお邪魔した時に、Oちゃんとリクエスト交換をしてその時に書いたブツ。
いやー、人のリクエストで書くの楽しいな!
深夜のテンションだったもんでほとんどがアーッな出来でしたが、唯一それなりにまともだったのをup。
ロマが好きです。でも親分の方がもーっと好きd(ry



タイトル提供→is



2009/5/17