※アヘン戦争ネタとか、香港ネタとか色々混ざってます注意。




















ゆるゆると意識が浮上するのに合わせ、瞼を持ち上げる。どうやら、いつの間にか居眠りしてしまったらしい。鼻をくすぐるのは中国茶の香り。
何故紅茶ではないのだろう、と思って、イギリスは覚醒した。
急いで起き上がって横を見ると、一人掛けのソファに中国が座って茶をすすっていた。
「起きたかあへん」
「……あへん言うな」
「人に茶を入れさせておいて自分は寝てるなんて、さすが紳士の国あへん」
中国はゆるりと笑った。連絡を入れずに訪ねたからだろうか、中国はいつものように髪を結えていなくて、さらりと黒髪が肩に流れた。イギリスは不覚にも赤くなった顔を右手で隠しながら「うるさい」と呟く。が、その声は中国には届かなかったようだ。
「弟の顔が見てみたいね」
中国は立ち上がると、さっきまでイギリスが横になっていた二人掛けソファに腰かけた。
イギリスとの距離は手を伸ばせば頬に触れられるほど。
真っ赤になったイギリスの頬を見つけて、中国はまた微笑んだ。
「まっか」
「うるさいって言ってるだろ」
イギリスは手を伸ばして、中国の目をふさぐ。
「手どけろあへん」
「どけない」
「どけろ」
中国は目を覆うイギリスの手を両手で握りしめる。しばし無言の格闘があり、やがてイギリスは手を下ろした。
「まっか」
勝ち誇った顔で中国はまた笑った。握りしめたままだった手を口元へ持っていき、人差指の爪の先に口付ける。イギリスの顔にさらに血が上った。
イギリスは照れているのか床ばかり見つめていたが、突然きっと中国を見据える。自分の手を握りしめている中国の手を、さらに自分の逆の手でつかみ引っ張る。
そしてゆるく微笑んだ中国のその唇に、
口付けた。