イギリスの腕の中で、中国は幸せそうに微笑んだ。イギリスの頬にひとつ口付けを落とすと、起き上がって寝台の脇に置いた煙管を手に取った。
口に銜えて火をつけ、気持ちよさそうに煙を吐き出す。
「お前も吸うあるか?」
「もらう」
煙管を受け取り遠慮なく銜える。慣れた阿片の香り。
「知ってるあるか?」
「何を」
「こいつは我の国では『相思草』というある。交わっている男女の心臓を貫いて、その血を栄養に育った草だと」
だから一度吸うとやめられない。まるで繋がったまま心臓を貫かれた男女のように。語りながら中国は首にまとわりついてきて、イギリスの首筋に吸いついて痕を残した。
「それで?」
「こうして赤く痕を残すと、まるで牡丹みたいあるね」
お前の場合は薔薇あるか? 全くイギリスの話を聞かず、中国は笑って言った。
「ほら、同じところに」
牡丹を、いや薔薇あるか、どちらでもいい、と中国は自分の首筋を指差した。
仕方ないとイギリスも笑って、言われたとおり中国の首筋に吸いついた。