部屋の中で男は、先ほど皇帝の傍らに佇んでいた美しい国を抱きしめて、首筋に吸いついていた。 男の顔は背を向けていて見えない。代わりに、こちらを向いた彼の恍惚とした表情は良く見えた。 扉の隙間から情事の様子を見つけてしまって、早く立ち去らなければと思うのに、イギリスの両足は動かなかった。頬を染めて喘ぐ彼の国に引き付けられたまま、動けない。 はたと、その黒耀の瞳と目が合った。 びくり、と体を震わせると、彼は口角を上げにやりと笑んでみせた。そのまま真っ赤な唇を開いて、喘ぎ声を漏らす。 視線はイギリスに絡めたまま、彼は達したようだった。 イギリスは何も考えられなかった。息が上がって、心臓が激しく脈打つ。 彼は荒い息をつきながら、イギリスを見つめて、自分の右手の指先にそっと口付けた。その意図がわかって、イギリスはさらにかっと頭に血が上る。右手の指先は、彼に挨拶したときにイギリスが口付けた場所。 手を離して彼が男と口付けたのを見て、イギリスははじかれたようにその場から走り出した。 → |