中国は部屋の真ん中で、両腕で頭を抱え蹲っていた。
「寄るなあへん」
イギリスが心配になって声をかけようとすると、そう言い放たれた。
「わかったよ!近づいて悪かったな!」
イギリスは思わずそう叫んでしまったが、中国がぴくりとも反応を示さないのをみて黙り込んでしまった。
「……どうした」
しばらく立ち尽くしていると、中国は頭を抱える腕の力をさらに強くした。
「……我は今、日本と敵対している」
ようやっと中国は口を開いた。零れ出た声は震えていた。
「お前はどう思った」
お前の弟が独立したときお前はどう思った、と問われ、イギリスは憮然として答えた。
「別に」
ただ、俺の弟はあの日死んだと思った。
それを聞いて、中国は顔を上げる。肌は血の色が抜けて妙に白かった。
「なら、我の弟ももう死んだ」
中国は口元を歪めた。本人は微笑んでいるつもりなのかもしれない。
「我は、ひとりある」
そう言った中国に、イギリスは駆け寄った。
「俺がいる」
抱きしめると中国は少し嫌がったが、やがてイギリスに体を預けた。
中国の頬を涙が一筋流れ落ちた。